ぶべ
個人開発の0→1マネタイズを乗り越えた方法【6ステップ】
2026年02月17日
要約を生成中...
こちらのイベントで話した内容の、要約記事です。
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はじめに
インターネット上では「ぶべ」という名前で活動しています。株式会社bubekichiの代表で、今3期目の会社です。
元々はソフトウェアエンジニアとして、経費精算系のSaaSの会社で働いていました。そこから独立してフリーランスになり、その後法人化して今に至ります。現在の事業内容は、Webサービスの受託開発・自社開発と、ShiftBというアプリケーション開発スクールの運営です。
SNSでの発信もしていて、メインはInstagramとYouTube。Instagramは4年くらいやっていて、あまりバズることはなかったものの、ずっと続けていたら結構伸びて、スクールの集客にもつながりました。
スクールは2年ほど運営していて、こじんまりとではありますが、120名ほどの受講生に個人開発してもらい、コードレビューを細かいところまでガチでやりまくる、というスタイルでやっています。
YouTubeは2024年の12月くらいから始めました。テーマは「個人開発」一点張り。当時はまだClaude Codeはなくて、Cursorの初代Composerとか、Devinとかの時期でした。「個人開発アツいな」と思って1本動画を出してみたら、いきなり3万再生されて、登録者も一気に2000人増えた。そこから調子に乗って1年以上継続しています。
こうした発信活動の中で、ビルドインパブリック的なことをやったり、個人開発でマネタイズを目指す人がスクールに入ってきたりと、いろいろな活動をさせてもらっています。
今日のテーマ:個人開発0→1マネタイズ
B向けSaaSというと、営業で売るイメージがあると思います。私自身、営業職はまったくの未経験です。それでも月に30万円弱のマネタイズに成功し、今でも毎月25〜30万円が入ってきています。
ここまで来るのに6つのステップがありました。月100万円以上とか、億超えの売却とか、そういう経験があるわけではないので、プロダクトのグロースに詳しいわけではありません。ただ、できるだけ具体的なことを話すので、これから作って1円以上──お金を払ってもらう体験をしてみたいという方に「自分にもできそうかも」と思っていただくのがゴールです。
これまでの個人開発の歴史
これまで6回の個人開発に挑戦してきました(2021〜2026年)。すべてWebサービスです。
# | プロダクト | マネタイズ |
|---|---|---|
1 | グルメ系のマッチングサービス | ✕ |
2 | 家庭教師マッチングサービス | ✕ |
3 | 栄養素管理サービス | ✕ |
4 | Instagramチャットbotツール(iDM) | ◯ |
5 | JavaScript学習サイト | ◯ |
6 | オンラインコミュニティ向けツール(vibely) | ◯ |
1回目は5年前くらいで、3回目までは全くダメでした。4回目の挑戦で、Instagramのチャットbotツール「iDM」を作って、月28万円・約30万円弱のマネタイズに成功。それが毎月です。今は5回目・6回目のプロダクトもやっていますが、今回は4回目のiDMに絞って話します。
iDMとは何か
iDMは、Instagram運営者向けのチャットbot自動返信ツールです。
フォロワーからのコメント、DM、スタンプアクションに反応して、あらかじめ設定した文章を自動返信できます。キャンペーンのリンクを送ってビジネスに活かしたり、フォロワーとのDM交換数を増やしてInstagramのアルゴリズム上の優位を得たり(ストーリーが右に表示されるなど)、そういった用途で使われています。
MetaのAPIドキュメントが公開されていて、公式APIを使って開発しています。Metaの審査もあります。Instagramの規約では、APIを使った一斉配信は禁止ですが、受け取ったアクションに対する自動返信はOK。なので、界隈では一定の需要がある領域です。
運用例としては、カルーセル投稿の最後の1枚にCTAセクションを設けて「コメントでプレゼント」と訴求します。コメントが来たら、それに合わせてDMを自動返信する、という流れです。「DMさせないでキャプションに直接リンク貼ってよ」と思うかもしれませんが、Instagramの投稿にURLを貼ってもリンクにならない。DMならリンクになるので、不特定多数へのリンク共有方法としても理にかなっています。
iDMの実績
導入アカウント数:1,500以上
有料ユーザー数:約70アカウント
月間サブスク収益(MRR):約28〜30万円
月あたり稼働時間:約30分
すべて個人開発のみで達成。自動化と仕組み化の結果です。
マネタイズまでの6ステップ
ステップ1:既存サービスに課金して使う──課題の解像度を高めるフェーズ
自分で作る前に、まず自分自身がその製品の「濃いユーザー」になること。どの部分に対して課金する価値を感じるのか、解像度を高めるフェーズです。
iDMを作り始めたのは3年前くらい。当時、同様のサービスは日本に5社ほどありました。最初はサービスを開発するつもりはなくて、純粋にこのツールを使いたくて契約しました。
月額2万円。結構高い。当時、国内で5社くらいがやっていて、それが業界最安値でした。他は月額5〜10万円。それに比べたら安いけど、個人レベルの発信者に2万円は厳しい。高いなと思いながらも、SNSでビジネスをやっている身からすると強力なツールであることは間違いなく、やむを得ず使っていました。
使っていると、「これ、自分で作れるんじゃね?」と思い始めます。使っていたサービスはユーザー数万人を抱えていて、いろんなユーザーに対応した結果、機能がリッチでした。抽選機能、時間差返信など、付加価値系の機能が盛りだくさん。ただ、自分にはそういうのは不要。受け取ったアクションに対してDMでリンクなどが自動で送れればそれで良い。自分がお金を払う価値を感じた部分もそこだけでした。
MetaのAPIドキュメントが公開されているので調べると、「まあ作れそうだな」となって、自作することを決めました。
大事な原則:
「高い」と感じる痛みが重要。実際に身銭を切ることで、サービスの価値をシビアに判断できる
日常的に使うSaaSで、「高い」「使いにくい」と感じている領域が狙い目
開発者の前に、まず自分が「濃いユーザー」になる
ステップ2:同じものを最低限の機能で自分で作る──コア機能だけを実装する
まるまるコピーではなく、自分が使っていてお金を払う価値を感じた部分だけを作ります。
ここでも、当時の自分はサービス化することは考えていませんでした。自分専用に作って、月額2万円を浮かせることが目的。後からSaaS化するのですが、今思うとこれがよかった。「この機能入れたら受けそう」とか仮説ベースのことを考えずに、純粋に自分のために作ることができました。
当時(3年前)はAIがChatGPTやCopilotが出始めくらいの時期。全部手でコードを書いて、フルタイムのフリーランスエンジニアとしても働いていたので、毎日朝の2時間を使って、3ヶ月かけて開発しました。今ならAIエージェントを活用すれば2日で同じものが作れます。
機能の仕分け:
使っていく中で「この機能は必須(コア)」「これは不要(ノイズ)」を明確に区別する
自分が使わない「抽選機能」などは捨てる。本当に必要なコア機能だけを実装する
競合の「コピー」ではなく、「自分が使いたい機能」だけを作る
ステップ3:自分で毎日使って磨く──数百の違和感を潰し続ける
作れたので、月額2万円のツールは解約して、毎日自分のアカウントで使い始めました。この時点で、間接的に月2万円のマネタイズに成功している状態なので大満足ではあったのですが、日々使って細かい動作を直したり、ちょっとした自分用の機能を追加したりしていたら、どんどん使いやすくなっていきました。
ある日気づきます。「これ、2万円のツールよりもはるかに使いやすい」。
SaaS化したら売れるんじゃないか、という感覚が生まれてきました。ここまで来るのに、おそらく数百回の修正を経ています。
1つ前のステップの「一旦できた」状態と「自分が使っていて違和感がない」状態には大きな壁があります。いわゆるラストワンマイルです。バイアスを抜きにして、毎日使っていて他のツールよりも使いやすい状態まで磨くことが大切です。
個人開発で0→1が達成できていない人の多くの要因はここにあると思います。 スクールをやっていて個人開発のマネタイズのサポートもしていますが、「気づかないうちに自分は使わなくなっていた」「個人で作っているから、既存の企業サービスよりもクオリティが低くても仕方ない」とどこかで思ってしまっている人が多い。少なくとも自分にとっては最高に使いやすい状態を目指すことが大切です。
改善サイクル:
気づいた改善点はすべてGitHubのIssueへ
ひたすらコードを書いて潰していく泥臭い作業が品質を作る
毎日使い倒して、数百の違和感を潰し続ける
ステップ4:数人の初期ユーザーを見つけて無料で提供する──「一気に増やしすぎない」
ここでようやく自分以外のユーザー獲得です。ポイントは、よく言われることですが、10人くらいに絞って一気に増やしすぎないこと。
そもそも一気に集めるのも難しいですが、クオリティが足りていないと、穴の空いたバケツに水を注ぐ状態になります。品質が不安定な初期段階でユーザーを入れすぎると、悪い評判が広まるリスクがあります。少数のユーザーを集めて、毎日連絡をとるくらいの距離感で濃いコミュニティを作って、プロダクトのフィードバックをもらいながらさらに磨いていきます。
DM営業の実態:
私の場合は、まず知り合いのInstagram発信者5人を集めて、「無料で良いから使ってみてくれないか」と依頼しました。5人では足りないと思い、DM営業を実施。Instagramで発信活動をしていて、何か裏側で商品を持っていそうな人を探して500人のリストを作成しました。
送りすぎるとアカウントに機能制限がかかるので、1日20件ずつ絞りながら送っていました。「無料」でも返信率は大体1〜2%。それくらいDMは見てもらえないし、信用してもらえない。後から聞いたところ、DM営業ではこれが相場だそうです。約500人に送って、5人獲得。合計10人の初期ユーザーを確保しました。
信頼関係の構築──このステップで一番重要なこと:
開発者である自分も含めて、サービスのことを信用してもらって、ファンになってもらう。自分で使って問題なくても、他人に使ってもらうとアラがたくさん出てくるので、それを日々潰しまくる。何かあればすぐ連絡をもらい、もらったらその日のうちに修正してリリースして報告する。
ぜひやってみてほしいのですが、使っているサービスの改善依頼をして、それが当日中に反映されたら、ユーザーはめちゃくちゃ喜んでくれます。プロダクトを磨きつつ、自分への信頼残高も貯めていくイメージです。
改善サイクル:
ユーザーから「ここ使いにくい」の連絡をもらう
その日のうちに修正。深夜でも対応するスピード感
「直しました!」と即座にDMで報告
「この人は本気だ」と思ってもらえる関係値へ
ステップ5:紹介プログラムを実施する──貯めた信用を営業力に変える
やることはシンプルです。初期のユーザーに「他の人に紹介してくれて、使い始めてくれたら1登録5,000円払います」と伝えて、他の人に勧めてもらう。この方法で1,500アカウントまで増やすことができました。
やっぱり、運営元が「うちの商品良いですよ」と言う形では難しい。第三者の口コミの方が、行動してくれる確率が圧倒的に大きいです。発信している人は発信者仲間がいることが多いので、紹介の連鎖が生まれやすい。
紹介される側にもインセンティブを:
紹介される側にも「無料体験4週間」などのメリットを用意しました。お金をもらってサービスを紹介することに、紹介相手に対して罪悪感を覚える人もいます。ある種、その人の信頼を切り売りしてもらっている側面もあるので、紹介される側にもメリットがあるようにすることで、そこが解消されやすくなります。
私の場合は、Instagramの運営方法を教えるスクールをやっている人と繋がれて、そこと提携できたのもよかった。ターゲット層がコミュニティとしてたくさんいる場所にアクセスできる方法を模索することも大切です。
営業マンを雇えばいいのでは?という疑問に対して:
お金を払って紹介してもらうなら、初めから営業マンを雇えば良いのではと思うかもしれませんが、実際にやったことがあって全然ダメでした。やっぱりサービスの濃いファンの人の言葉が響く。アフィリエイトでもよくある話です。また、1件5,000円程度の低単価だと、ちゃんとやってくれる人がそもそもいない。前のステップで「報酬がなくても人におすすめしたい」レベルにまで持っていくことが大切で、報酬は最後のひと押しくらいの感覚です。
ステップ6:有料プランを提供する──磨き込まれた体験 × 圧倒的な価格競争力
ようやくマネタイズです。
価格設定は自由ですが、個人開発サービスはとにかく信用が得にくいので、それを跳ね返すくらい安くするのが鉄板です。
月額 | |
|---|---|
競合サービスの最安値 | ¥22,000 |
iDM(自社プロダクト) | ¥3,980(送信数無制限) |
競合の約1/5の価格です。この価格にした明確な理由はないのですが、感覚で「これくらいだったら、自分で作るよりも契約し続けてたな」という数字で決めました。個人開発なので人件費はゼロ、固定費も月に1万円ちょっとなので、3社契約で黒字化です。
大事な原則:
個人開発の最大の武器は「安さ」。大企業の1/5の価格なら、機能が少なくても勝てる
「安すぎる」と感じるくらいが、個人の最強の武器になる
個人開発=人件費ほぼゼロ。大企業には真似できない価格設定が可能
結果
このステップを踏んで、徐々に売り上げは上がっていきました。アカウント数は1,500を超え、有料ユーザー数は70。月商で30万円弱まで成長しました。
機能が本当にミニマムのまま、特に機能追加もせずに伸びているので、バグもなく、お客さんから連絡が来ることもほとんどありません。ステップ2で「自分にとってほしい機能だけで構成する」としたのが良い結果につながりました。
マネタイズできた4つの要因
何でもかんでもこの方式で伸びるとは思いません。このプロダクト特有の特徴もあったと思っていて、iDMがマネタイズできた4つの要因を考察しました。
1. ターゲットの意思決定構造
通常のB向けSaaSは、ツールの選定をする人と導入を決める決裁者が別で、商談を経て社内決裁が必要です。しかし、iDMのターゲットはSNSでビジネスをしている1〜数人の小規模事業者。決裁者自身がプレイヤーなので、商談なしで課金まで行きやすく、個人プロダクトでも「とりあえず使ってみる」の判断を得やすい環境でした。
2. Meta APIが参入障壁になった
Metaの審査の手間が技術的・手続き的なハードルとなり、競合の参入を自然と防いでくれます。一度通過すれば優位性が続く。50回くらいリジェクトされましたが、当時、日本でInstagramの自動返信ツールを提供できる会社は10社もありませんでした。
3. コミュニティができた
初期ユーザーとの密なやり取りから、ユーザー同士の横のつながりが生まれた。「この人ならちゃんと運営を継続してくれそう」という信頼が醸成され、これが解約を防ぐ強力な防波堤にもなっています。
4. 圧倒的に安くできた
個人開発=人件費ほぼゼロ。大企業には真似できない「1/5」の価格設定が可能でした。500円でも黒字化できる構造は、個人開発の機動力の大きな武器です。
再現性のポイント
この方法は、個人開発でやるのであれば結構使えて再現性があると思います。ポイントをまとめると以下の通りです。
自分がユーザーである分野を選ぶ:日常的に使うSaaSで「高い」「使いにくい」と感じている領域が狙い目
価格は競合の数分の1まで下げる:個人開発の最大の武器は安さ。機能が少なくても価格で勝てる
営業は泥臭くDMから → 紹介で自走:最初は数人にDMでアプローチ。信頼を作ってから紹介プログラムで広げる
同じ発想で狙えるサービスの例としては、LINEステップ配信ツール、Instagramのステップ配信ツール、オンラインコミュニティ向けツールなどが挙げられます。
一番大変だったのはDM営業でした。正直、この時間を受託開発に回していれば何十万も稼げたと思うと心が折れそうになりましたが、一度軌道に乗ると月に30分の稼働で30万円弱が入るようになる。時給に換算すると60万円弱。レバレッジが効いてくるのは、乗り越えられてよかったと感じるところです。
現在の活動
vibely
現在はまた別の個人開発をやっていて、「vibely」というオンラインコミュニティ向けのコンテンツ管理ツールを開発しています。自分がスクール運営する中で「こういうツールがあったら良いな」を形にしたもので、自分のスクールでも全員で使っています。Xを中心に、オンラインスクールやオンラインコミュニティを運営されている方にどんどん導入いただいています。
ShiftB
ShiftBというアプリ開発スクールも運営しています。
受講生数:120名以上
卒業生転職成功率:100%
月の稼働時間:500分以上
エンジニアとして転職したい人はもちろん、最近では個人開発のマネタイズを目指して入る方もたくさんいます。マーケ面のサポートもしてほしい、コードを理解せずにバイブコーディングに限界を感じている、という方も多く、30〜50代の方も増えてきています。
まとめ:泥臭い努力と戦略の積み重ねが、確実な成果につながる
ステップ | やること |
|---|---|
1 | 既存サービスに課金して使う |
2 | 同じものを最低限の機能で自分で作る |
3 | 自分で毎日使って磨く |
4 | 数人の初期ユーザーを見つけて無料で提供する |
5 | 紹介プログラムを実施する |
6 | 有料プランを提供する |
華やかな成功談ではなく、泥臭いDM営業、深夜のバグ修正、数百回の改善の積み重ね。でも、一度この壁を乗り越えると、月30分の稼働で月30万円弱が入る世界が待っています。
個人開発でマネタイズを目指す方の参考になれば幸いです。

